ちょうど20年前の1993年4月16日、後楽園ホールにてチャンピオンカーニバル公式戦として小橋健太VSスタン・ハンセンが行われました。 チャンピオンカーニバルとは、全日本プロレスの春の祭典としてトーナメントやリーグ戦でシングルでの最強を決める大会の事です。 この年のハンセンは優勝候補の大本命、小橋選手は赤丸急上昇中で金星を奪ってリーグ戦を搔き回すダークホース的な存在でした。 キャリア1年にも満たないこの日の私はバルコニー(2階)からの撮影。 ここからの撮影もこれが2度目か3度目ぐらいだったと記憶しています。 我が雑誌社のバルコニーからの撮影のセオリーとしては180mmレンズをメインでサブに135mmレンズと、2台のカメラを使用します。 ルチャ・リブレの様な動きの速い様な試合は135mmをメインにしたりと、その辺りは臨機応変に対応します。 80~200mmのズームレンズという、非常に使い勝手が良いレンズもあります。 が、当時はオートフォーカスではなくマニュアルでピントを合わせていたのですが、ズームレンズではピントを合わせるのが非常に難儀な事、そしてズームレンズだとどうしても絵(人物)が小さくなってしまうという理由で、先輩方からもズームレンズでの撮影は勧められませんでした。 しかし、ここまでズームレンズを使用した事がなかった私はその意味がよく分からず、とにかく一度使ってみたいという気持ちが強く、初めて80~200mmレンズでの撮影に臨みました。 さて、肝心の小橋VSハンセンですが・・・ “小橋がかなり善戦するだろうけど、ハンセンがどこでラリアットを出すか” と、私が勝手に予想していた撮り所はその一点です。 今でこそ各選手それぞれの必殺技は必ず1試合に1回、いやテレビで拝見していると複数回繰り出していますが、ハンセンのウエスタン・ラリアットは3~4試合に1回出るか出ないか・・・という程の大変貴重な技だったのです。 地方巡業でもハンセンの試合というのは、そういう意味で非常に緊張したしワクワクしたものです。 さてさて、試合は私が勝手に予想した通りに進んで行きます。 それどころか、小橋が勝つんじゃないの?というぐらいの試合です。 そして小橋選手がセカンドロープへ上り、フィニッシュへ向けてのショルダー・タックル・・・ いやいや、ハンセンがこれをかわして小橋が立ち上がった所にウエスタン・ラリアット一閃! という展開をこれまた勝手に予想しながらシャッターを切り続けていたのですが・・・ それまでのウエスタン・ラリアットは、ロープへ振って返って来たところへ放ったり、相手が立ち上がったところへ走り込んで放ったり、というオーソドックスなパターンでしたが、こんなのは初めて見ました。 ハンセンの左腕を軸に、小橋選手の体が半回転以上したのです。 これを機にハンセンはいろんなバリエーションのラリアットを放つ様になります。 私達の世代が子供の頃から見ていたウエスタン・ラリアットの歴史を変えた、それほどまでの試合をした対戦相手がジャイアント馬場でもジャンボ鶴田でも三沢光晴でもなく、小橋健太でした。 この場面、180mmレンズ縦一で撮ったらどんなだったろう? なんであの時に限ってズームで撮ろうと思ったんだろう? あらゆるズームレンズを見る度にこの一瞬の場面を思い出します。 人物が小さくなっている構図、ピントが合っていないこれらの写真は、私にとっては徳川家康の“しかみ像”的な存在です。 「人気ブログランキング」に参戦中です。 “カーネーション”をクリックするとポイントが加算され、順位に反映されます。 本日も1クリック、宜しくお願いします! 人気ブログランキングへ
by keta871
| 2013-05-04 11:11
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Comments(6)
初めまして。
ズームだと、小さく撮ってしまうというのはありますね。AFポイントの配置もありますが、つい広めに撮ってしまって、迫力が足りない感がというのは良くやってしまいます。 やはり、単焦点で撮った方が、構図作りなどは上達するものでしょうか。
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keta871
at 2013-05-05 04:07
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hagakureさん
初めまして。御訪問ありがとうございます。 写真は正解が無い分野なので、あくまで私個人の意見ですが、圧倒的に単焦点を使った方が良いと思います。 理由はズームだとあまり動かずに構図を決めてしまいがちになるからです。 私はほとんど50mm単焦点で撮っていますが、近付いたり離れたりいろいろ移動しながら撮影しています。 つまり、ズームより単焦点の方が考えながら撮影出来ると思います。 簡単に決まるより、押したり引いたり難儀するのも楽しい作業ですし、その過程も含めて“写真”だと思っています。 また、ズームだと邪魔なものを排除出来ストレスが無い写真が撮れるかもしれませんが、私には味気無く感じてしまいます。 意図していないものがファインダーに入っても、50mmというドストレートなレンズで写したものの方が私は好きです。 詳しくは2012年1月の「宇佐山城その1&その2」で述べさせていただいておりますので是非御覧になって下さい。 また御意見お聞かせ下さい!
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あい
at 2013-05-05 11:29
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その瞬間に立ち会えたことが奇跡ですよね!
しかもそれを写真に収めたなんて。 プロレスを撮れる機会に恵まれるカメラマンさんってそんなに居ないと思います。 こういう話を聞くと、幸せな時間を経験されてて羨ましいなぁ~と感じます。 昔の自分ってこっぱずかしいですよね~。 自分で自分を振り返るってなかなか出来ないし、する機会も少ないかと思います。 写真って本当に素晴らしいですね♪
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keta871
at 2013-05-06 00:18
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あいさん
私の場合は写真ですが、仕事でも趣味でも昔の写真を見るとそれを撮った状況や気持ちが思い出されます。 昔の写真を見る事で無意識に自分を振り返るという作業をしているんですね。 年ですかね~・・・ いつぞやウエスタン・ラリアットにまつわるお話を・・・とお約束した記憶があったのですが(昨年8月の天地人その2でした)、それがこの場面です。 小橋選手が引退されるという事で、もうこのタイミングしかないかなーと思いまして。
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会田忠行
at 2015-03-22 21:40
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画面は歪みなく綺麗に真っ直ぐ。素晴らしい
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keta871 at 2015-03-23 02:36
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Minoru Iwamoto
写真専門学校卒業後、プロレスカメラマンとして活動。 現在は城跡を撮影するため、熊よけの鈴を鳴らしながら時々いろんな所に出没している。 サイト内の写真の使用ならびに無断転用を禁じます。 Copyright©Minoru 最新のトラックバック
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