写真専門学校に入学してまず言われた事は、「3年間、標準レンズ(50mm)以外は使用禁止!」という事でした。 本格的に写真に関わるのはその時が初めてで、とにかく素直に課題をこなす事だけを考えておりましたが、何の手応えも無く在学期間の3年が経過しました。 そして専門学校在学中からアルバイターとしてお世話になっていた出版社に入社し、本格的にプロレスの撮影に携わって行く事になります。 入社当時(1990年代前半)のプロレスの試合を撮影するオーソドックスな基本スタイルは、TV用の照明がある会場ではカメラ3台(タングステン用2台、ストロボ撮影用にデイライト1台)、それ以外の会場はストロボ撮影でカメラ2台を使用おりました。 ちなみにタングステンの使用フィルムはコダックのEPTでISOは160(後にEPJ ISO320を使用)。 +2増感すると黒の締りが無く、本になった時も紙面のクオリティーが下がってしまうので、一つの基準としてはそれ以上増感しなければいけない状況、又はシャッタースピードが最低1/250切れない状況だったらストロボ撮影でした。 レンズは135mm、105mm、85mm、50mm、35mm、28mmなど単レンズを好きに組み合わせて使うのですが、まずアドバイスされたのが50mmをメインで使いなさい、そしてズームは使わない方が良い(というか使うな!)、という事です。 50mmを使う理由としては、画角いっぱいに撮った方が良いからです。 プロレスをリングサイドで撮影する場合、50mmがちょうど良い塩梅だと思います。 トリミングをしない事を前提に撮影しており、小さく撮るより大きく撮った方が良いので(勿論時と場合により小さく撮った方が良い場合もありますが)常にそういう癖を身につけておきなさい、という事です。 そしてズームレンズを使わない理由は、当時はマニュアルでピントを合わせていましたが、まずピントが合わせ難い事。 そしてズームを使うと被写体を小さく撮ってしまうのです。 特にプロレスという瞬時に判断しなければならない状況では尚更です。 プロレスのメッカ・後楽園ホールのバルコニー(2階)で撮影する時はメインが180mm単レンズでサブで135mm単レンズを使用していました。 そろそろ慣れが生じ、楽をして80~200mmのズームで撮影に臨んだ日があったのですが、その日は私のカメラマン人生の中でも指折りの衝撃シーンがあったのです。 そしてその場面をズームレンズでビビッて小さく撮ってしまったのです。 ズームレンズを見るだけで、今でもそのシーンを思い出してしまいます。 それ以来、デジタルカメラが主流となるまで一切ズームは使いませんでした。 デジタルカメラ主流となり、画角も変わり、ズームレンズが当たり前となり、今まで養ってきたフィルムの特性やレンズの癖などすべてがリセットされ、しばらくすると…もうプロレスを撮る必要は無くなっていました。 今一番のこだわりは50mmレンズで撮影する事です。 アップを撮りたかったら歩いて被写体に近付く。 全体を撮りたかったら歩いて被写体から離れる。 ファインダーからはみ出してしまったらその様を撮る。 ズームレンズは便利です。 歩かなくてもちょっと捻って広角にすれば入れたい被写体、収めたい部分がファインダーに入ります。 だから楽をして撮れてしまいます。 ズームレンズを使うときは、楽をして撮らない様心掛けています。 専門学校での教えが、今何となく役に立っている様な…気がします。 ボディーはニコンD700、レンズはAl Nikkor 50mm F1.4s 私が初めて買ったマニュアルレンズです。 この組み合わせ、懐かし感覚です。 そして以下はこの組み合わせで撮影した写真です。 「人気ブログランキング」に参戦中です。 下のボタンを“ブチッ”と1クリック、宜しくお願いします!
by keta871
| 2012-01-14 03:19
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Comments(2)
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somashiona at 2012-01-14 06:44
そっかぁ、やっぱ50mmかぁ。僕も写真はじめたときは50mmばっかりで撮ってたなぁ。50mmはオールラウンドだけど、インパクトのある絵を作るのは難しいよね。でも、やっぱり好きなレンズ。
枯葉、潅木に埋まった遺構。ここでどんな歴史があったのか教えてくださいませ。(深々と頭を下げる)
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keta871
at 2012-01-15 05:28
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Minoru Iwamoto
写真専門学校卒業後、プロレスカメラマンとして活動。 現在は城跡を撮影するため、熊よけの鈴を鳴らしながら時々いろんな所に出没している。 サイト内の写真の使用ならびに無断転用を禁じます。 Copyright©Minoru 最新のトラックバック
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